日本のスマートホンはこの携帯端末から始まった!「W-ZERO3|ウィルコム(WILLCOM)」
今日のゲストは人気ブログ「伊藤浩一のWindows Phone応援団」を運営する伊藤浩一さん。
伊藤さんは大のモバイル好き。どれぐらい好きかと言えば、モバイル関連の書籍をすでに10冊以上出版されているぐらい!
ラジオ局にお勤めであり、決しこちらが本職ではありません(笑)
実は私、伊藤さんに8年ほど前に大変お世話になっていました。
何でお世話になっていたか?
それが、今回の伊藤さんの「これまじ!」アイテムでもあったのです!
伊藤さんが紹介してくれた「これまじ!」はこちら!
W-ZERO3 | ウィルコム(WILLCOM)
伊藤さんがW-ZERO3をテーブルに出した瞬間に「うわぁぁーー懐かしい!」と思わず声を発してしまいました。
実は、私、このW-ZERO3が発売されたと同時に購入したW-ZERO3ユーザーだったのです。
W‐ZERO3が発表されたとき、かなりの衝撃を受けたのを昨日のことのように覚えています。
「えっ!携帯でワード、エクセル、パワーポイントが使えるの?!」
「えっ!携帯でパソコンで見ているHPをそのまま見れるの?!」
「えっ!キーボードがついてるの?!」
「えっ!英和・和英・国語辞典が入ってるの?!」
「えっ!mini SDやケーブルでパソコンとデータのやり取りや同期ができるの?!」
まさに「えっ!えっ!」の連続で、
「これって小さなパソコンやん!これからの携帯ってこういう風になっていくんとちゃうん!」
と興奮したことがとても懐かしいです。
W-ZERO3が発売されたのが2005年12月。
もちろんスマートホンなど日本にはありませんでした。
(初めてのiPhone 3Gが日本で発売されたのが2008年7月なのでこの間約3年!)
当時、W-ZERO3を耳にあてて電話をしていると「でかっ!」「何それwww」と常に突っ込まれていたのが懐かしいですが、このサイズ、実は今のスマホとほど変わらない大きさなんですよね。(キーボードが収納されているので厚さはありますが)
使っていた方であれば、分かると思うのですが、この収納されているキーボードを出し入れするときにでる「シャカッ」という音も何ともいい響きをしていました。
で、話は冒頭に戻るのですが、私が何で伊藤さんにお世話になっていたのか?
実は、伊藤さんが運営されていたブログ「W-ZERO3応援団」と著書である「W‐ZERO3の本」にひじょ〜にお世話になっていたのです。
W‐ZERO3の本―WILLCOMスマートフォンシャープWS003SH徹底活用術 伊藤 浩一 重森 大 霧島 煌一 ぬりかべ魔人 ジョルス 毎日コミュニケーションズ 2006-01 |
これまでにない携帯であり、また、周りにもユーザーがいなかったので、情報を得るにはネットや書籍しかなく、細かく解説された伊藤さんのブログと書籍には当時、とても助けられたのでした。
8年のときを経て、まさか、W‐ZERO3に再会し、さらに当時お世話になっていた伊藤さんにお会いできるとは!
「これまじ!」を運営していてよかったなと思える瞬間でした。
さて、前置きが長くなりましたが、なぜ伊藤さんにとってW‐ZERO3が「これまじ!」なのか?
そこには私が知らないモバイルユーザーにとっては涙涙のお話があったのでした。
伊藤さんは昔からモバイル好きで、2000年初頭から盛り上がったPDAももちろん愛用していました。
皆さんもシャープのザウルスやソニーのCLIE(クリエ)が流行ったことは、記憶にあるのではないでしょうか。
いっとき盛り上がったPDA市場も、i-modeやモバイル用ノートパソコンが台頭してきたことで、市場が衰退していきます。
日本の携帯電話はネットに接続することが可能であり、非常に便利なツールになっていきました。
片やPDAはネットに接続するには通信カードが必要であり、ケーブルにつなげるという作業も必要でした。
そしてノートパソコンもどんどん小型化されていき、支障なく持ち運ぶことができるようになりました。
そのような状況下でPDAは存在価値が薄れ、ソニーが撤退し、そして、シャープも撤退と市場から姿を消すことになったのでした。
そのとき、海外ではどのような動きが起こっていたのでしょうか?
実は、海外ではこの時期にスマートホンが出はじめていたのです。
Palm(パーム)というPDAがあったのですが、それに携帯電話機能が付き、Treoというブランドで発売されました。
海外ではPDAがスマートホンに進化し、日本では携帯電話が独自に進化をしていたのです。
その時代は、PDAを愛していた伊藤さんをはじめとするPDAユーザーにとっては暗黒の時代だったと言います。
PDAを使いたくても、もう日本には市場がありません。
コアなユーザーは仕方なく海外からスマートホンを個人輸入して使用していたそうです。
しかし、当時はGSMという通信規格で、この規格は世界中の大半の国で使えるのに、日本だけが使えない規格でした。
つまり、せっかく海外からスマートホンを輸入しても、電話機能は使えずPDAとしてしか使えない。
また、輸入ものなので、日本語化されていませんし、日本語入力もされていません。
そこでユーザーはハッキングをして、自分たちで日本語化したり、日本語入力システムを作っていたのです。
そんな、不便でどうにもならない時代に救世主の如く出てきたのがW-ZERO3なのです。
長い暗黒の時間を過ごしたPDAユーザーは歓喜したと言います。
Windows mobileというPDAに使われていたOSを使った端末に、PHSを利用した通信と通話までできる端末がついに日本にも出てきた!と。
このとき、PDAが市場から消えてしばらくたっていたので、マスコミの反応は「売れるわけがない」という冷ややかなものだったと言います。
しかし、伊藤さんからすれば、W-ZERO3は救世主であり、何としても市場に広めたいという思いが募りました。
そして、すぐにこれまで運営していたブログを「W-ZERO3応援団」と変更し、W-ZERO3の情報を更新し続け、また、多くの出版社にW-ZERO3に関する書籍の出版企画を持ち込んだのでした。
それがこれらの書籍です。
W‐ZERO3の本―WILLCOMスマートフォンシャープWS003SH徹底活用術 伊藤 浩一 重森 大 霧島 煌一 ぬりかべ魔人 ジョルス 毎日コミュニケーションズ 2006-01 |
W-ZERO3[es] パワーナビゲーター 伊藤 浩一 avi kzou memn0ck mobachiki 技術評論社 2006-12-26 |
W-ZERO3はウィルコムとシャープがタイミングがよい時期に両社の思惑が一致してできた産物だそうです。
ウィルコムは当時W-SIM(ウィルコムシム)というSIMを抜き差しして、好きな携帯端末を使うスタイルを提唱しはじめており、また、シャープはザウルスに変わる機種を作りたいと考えていたそうです。
この両社の思いが合致し、そのタイミングで生まれたのがW-ZERO3というわけです。
伊藤さんは最後にこうお話してくれました。
「W-ZERO3が発売されてから、iPhone 3Gが発売されるまでの約3年間、モバイルユーザーを支えてくれたのはW-ZERO3であり、日本のスマートホンの礎を築いたのもW-ZERO3なのです!」
うーーん、いいお話を聞かせていただきました!
伊藤さん、ありがとうございました!!
そして、W-ZERO3ありがとう!!
今回のゲスト:伊藤浩一さん (facebook)
ブログ「伊藤浩一のWindows Phone応援団(旧W-ZERO3応援団)」主宰。モバイルユーザーとしてレビューを毎日掲載しながら、日本のスマートフォンシーンの盛り上げを行い、アクセス数は月間30万を超えるブログとなっている。特に、日本で初めてのWindows Mobileスマートフォン「W-ZERO3」への思い入れは強い。著書に「Androidスゴ技BOOK」「逆引きAndroidアプリガイド」(共にソフトバンククリエイティブ)、「WILLCOM 03 handbook」「Advanced/W-ZERO3[es] Handbook」(インプレス)、「HTC Touch Pro & Diamond ハイパーナビゲーター」「EMONSTERハイバーナビゲーター」「W-ZERO3[es]パワーナビゲーター」「W-ZERO3パワーナビゲーター」(共に技術評論社)、「W- ZERO3の本」(毎日コミュニヶーションズ)、「sigmarionIIIスーパーブック」(ソフトバンククリエイティブ)などがある。
この記事はアジャイルメディア・ネットワークさんとのコラボ企画です。
アジャイルメディア・ネットワークさんの協力を得て、パートナーブロガーさんに取材させていただきました。