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アンバランスなほど大きな頭とカラフルなぐりぐりお目目。だけど可愛くてたまらない!大人が夢中になるドール「ブライス」

西村奈津子
物心ついた幼い時から、男の子は男の子の、女の子は女の子の遊びに興じるようになるものです。
これは性差別でもなんでもなくて、本能みたいなものでしょうか。
男の子はチャンバラやおもちゃのピストル、車やロボットメカに心惹かれます。

そして、古今東西かかわらず女の子にとって不動の人気玩具、それは「お人形」。
リカちゃんやバービーといったスタンダードは、女の子なら誰しも一度は通る道でしょう。

今回、IT関連企業に勤める西村奈津子さんが「これまじ!」として紹介してくれるのは「ブライス」という人形。

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見てください、この圧倒的インパクト!
一度見たら忘れられない超個性的なデザインながら、意外にも1972年生まれというから、リカちゃん人形(1966年)と大差ない時期に誕生しているのです。

しかし時代を先取りしすぎたのか、実は生誕の地アメリカでも当初は人気が振るわず、わずか1年で生産終了。

2000年代に入り、この人形の写真集が発売されたり、日本ではパルコがCMで扱うなどしたことをきっかけに、地味に火がつき始めます。

ついにはタカラトミーがレプリカを再販。今ではヤフオクなどで、多数の愛好家によって本体のみならず自作の衣服や靴、グッズなどの取引がさかんに行われるなど、それなりのマーケットとなっているようです。

三頭身で「キモ可愛い」独特の魅力

なんといっても特徴的なのは、アンバランスなほど大きな頭とカラフルなぐりぐりお目目。強烈すぎて、好き嫌いがハッキリ分かれるかもしれません。
西村さんも最初は「呪いの人形みたいで気持ち悪い」と、ある意味当然ともいえる感想を抱きました。

でも本当に惹きつけるものは案外そういうもの。
ずっと見ているうちにだんだんと可愛いと思えるようになってきたといいます。
「そもそも顔の造りはブサイクなんですよね(笑)」
と、身もフタもない西村さん。
「でも、わざとアンバランスに作っているんですよ。頭の形とか、左右で違ってたり」
と解説されて、なるほどそういうものか、と頷いてしまいました。

人間でもそうですが、完璧に整った「美」よりも、少し崩れているぐらいが愛着を感じたりするもの。
それが「個性」というやつです。

たしかによく見ると、メイクやチーク、目の大きさ、髪の長さ、そばかすの有無など個体差があるようで、それがなんともいえない豊かな表情をつくっているのです。

頭の後ろから出ている紐を引っ張ると、目の色が4色に変化するというかなり珍しい機構もそなえています。

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万人受けするものより、尖った製品ほど人の心をつかんで離さないということをあらためて知りました。

出会いはヤフオク、ハマって集めて9人も

西村さんは10年以上、ネットでのPRやマーケティング業務に携わってきました。ある時、チャリティーオークションを担当する機会があり、そこでブライスと出会います。

名だたる有名ブランドやデザイナーが人形の服を製作し、それをブライスに着せて売る。
ファッションにも興味がある西村さんは、そのマッチングに興味をそそられて自らもオークションで購入。ひとつ買うと違ったタイプのものが欲しくなり、今では全部で9体も持っているそうです。

タレントやアーティストとの限定コラボなどもしばしば企画されたり、CMに起用されたり、意外なところで目にすることのあるこの人形。
ニューヨークのメトロポリタン美術館の一角にも写真作品が展示されていたこともあるほどです。
かといって爆発的にヒットするでもなく、世界的に細く長く静かな人気を保っているのがうかがえます。

いつも一緒、旅に連れ出して写真を撮るという楽しみ方

で、このブライス人形でどう遊ぶの?ってことですが、近くの公園から景勝地までいろんな場所に連れて行き、そこを背景に写真を撮ることが西村さんの最大の楽しみなんです。

そしてそれをSNSにアップ。
今では西村さんがつくったミクシィのグループは3000人を超えるほどに。

[mixi]ブライス写真館

[mixi]ブライス写真館

西村さん自身、趣味は旅行というぐらいで、国内はもとより、パリやロンドン、ニューヨークなどによく行くそうです。
それも今では半分「写真ロケ」が目的になりつつあるらしく、「自分が写るよりも、この子が写ったほうが面白い」と、どこへでも連れて行くそうです。

旅行の荷造りにいたっては、自分の物より人形の身の回り品のほうが時間がかかるそうで、もはやどっちが主人か分からないぐらいですね。

湯島天神にて

ロンドンのヒースロー空港にて

OASIS「Morning Glory」のジャケットが撮影されたロンドンの Berwick Streetにて

パリのサンマルタン運河にて

パリのセーヌ河にて

大人の着せ替え人形。それは自己投影のひとつかも

実は西村さんは子供の頃、リカちゃん人形などで遊んだことがなかったそうです。
その反動もあるのか、今になって大人買いというわけ。服など人形のアイテムに何十万円も費やしてきたといいます。

リカちゃんやバービーのようなおすましした表情に比べると、ふてくされていて媚びない感じが好きなんだそうです。

服や靴はもちろん、ちゃんと下着まで付けているんだとか。有名ブランドの服飾品も販売されているし、そういった服のコーディネートをするのがまた楽しい、と西村さん。
そう、これは「大人の着せ替え人形」なのです。

その心理をこう自己分析してくれました。
「リアルでは絶対できないことを人形に託している部分はあるかもしれませんね。だって、紫の髪とかアフロヘアとかふつうできないじゃないですか(笑)」

着せ替えは、ある種の変身願望を満たしてくれる行為ともいえます。
自分好みのファッションをさせることで、自己の理想を投影することができる創造性豊かな遊び。制約を取っ払って自由に心を解放できる、そんな快感もあるでしょう。

ブライス人形を見れば、持ち主の本来の好みや志向が見えてくるかもしれません。
逆にいえば、この人形で遊ぶことによって、知らずに隠されていた自分の一面に気付くことができるかもしれませんね。

男性目線から見ると、多くの発見があった「これまじ!」でした。

>>ブライス公式サイト
>>西村さんが運営するmixiのブライスグループ「ブライス写真館」
>>西村さんが運営するfacebookページ「Blythe Gallery」

    


(取材:板羽宣人 / 記事:Rose)

今回のゲスト
西村奈津子さん(facebook

10年以上、ネット業界でPRやマーケティングのお仕事に携わる。現在も某IT企業でマーケティングを担当中。
三度のメシより絶対インターネット。
特にSNSの会社に勤めた時にソーシャルメディアの面白さと可能性に開眼。その結果、特技は「Always On」。
夜1時頃までは日本の友人・知人・各メディアのアップデートをウォッチ。
それを過ぎると海外メディアの始業時間になり、彼らがソーシャルメディアにどんどんpostをはじめるので、今度はそちらをダラダラとウォッチ。
うっかりしていると朝4時とか5時になっていることも多く、お肌のケアがいまの関心ごと。
人並みな趣味を挙げるとしたら旅行。とはいえ最近ではブライスの写真を撮ることが旅行の主目的。


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