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いつもポケットに文庫本を。書を持って、街に出よう!

古屋 荘太さん

今日のゲストは出版プロデューサーの古屋荘太さん。
金融業界と広告代理店を経てライターに。個人・商業出版をサポートするエリエス・ブック・コンサルティングでプロデュースやマーケティングを担当、その後独立し、フリーとして活動しておられます。

パッと見た感じは、インテリジェンス漂う落ち着いた話ぶりが印象的な、シュッとしたイケメン。
その実は、ビジネス書から純文学まで一日一冊以上を読み漁る本の虫。
本の置き場所に困って、同じような仲間とルームシェアを始めたこともあるぐらいです。

そんな古屋さんが勧める「これまじ!」はこちら!

文庫本
文庫本

商品ではなく「文庫本」。もっといえば、文庫本のある生活。
ライフスタイルそのものの提案といっていいでしょう。
電子書籍やWeb等、テキストコンテンツがデジタル化する一方の現代において、あえて紙媒体の文庫本を持つことの魅力をお話しいただきました。

いつもポケットに文庫本を

古屋さん自身、文庫本に愛着を持つようになったのは高校生のとき。
フリースピーチの授業で、クラスメイトが「いつもポケットに文庫本を入れてますか」というスピーチを聞き、「あ、そういう習慣いいな」と感銘を受けたことがきっかけだそうです。

今も普段から数冊は常に持ち歩いています。新書ではなく文庫なのがこだわりのポイント。
新書はハードカバーで扱いにくく、持ち運びにも不便ですよね。
その点、文庫はポケットにもスッと入りポータビリティ抜群。サイズといい軟らかさといい、読みやすさが向上します。
これは文庫本ならではの大きなメリットでしょう。
書籍が文庫化されるにはだいたい3年ぐらいかかるそうですが、同じタイトルの文庫版をあえて買い直すほど。
もはやお守りみたいなもので、一冊入れておくと安心するんだそうです。
「精神的サプリメント」とまで古屋さんは言います。

いつか読めるかもしれない未来のためにとっておく

古屋さんの読書法は、気に入った本なら繰り返し読み、作品のエキスを味わい尽くすこと。その都度新しい発見があるといいます。
気になった箇所にはどんどん線を引いて、メモを書き入れて、徹底的に本と向き合う。
いつのまにかカバーはどこかへなくなり、ページは折り目が付き傷んでいく。
けれど、そうしてフル活用することが、本に対する最大の敬意なのではないでしょうか。
メモ書き

この日持ち歩いていた中の一冊、村上春樹著「ねじまき鳥クロニクル」。

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これまでに15年かけて5回ほど読んだそうですが、結婚など人生のステージが変化する度に、理解できる内容も変わってきたといいます。
かつて分からなかったことが新しい視点を得て分かるようになる。
「時が経ってはじめてその本の深さに気付く」これこそが本を読む醍醐味だという古屋さん。
何度もめくって角の折れ曲がったページは、読み手の成長の証がそのまま表れているようです。

「本の価値は買った時点では分からないかもしれない。時間と共に意味が深まっていくのが良い本」と古屋さんは言います。

さらに「積ん読」ができるのも文庫の魅力、といいます。
電子書籍はたしかに便利ですが、10年経って思い出したように読み返すということはなかなかないでしょう。
その点、物としての存在のある本なら、本棚にチラリと覗く背表紙がふと目に止まって再読してみるという楽しみがあります。

二度出会うのです。
「将来読まれるべき本を手に入れて、置いておくという行為に意味がある」と古屋さんはいいます。
文庫ならそれほど収納にも困りません。

書店やAmazonなどをちょっと覗けばおびただしい数の書籍が溢れています。
そのほとんどはサラッと一度読まれればそれっきり。みなさんも心当たりがないでしょうか。
「繰り返し読む」「時間が経ってから読む」こんなことが手軽にできるのは文庫本ならではの魅力かもしれません。

書を持って、街に出よう

電車の中やカフェで、本を読んでいる人はたしかに少なくなった気がします。皆スマホやPCの画面に食い入るばかり。
そんな中でサッと「トルストイ」や「ニーチェ」なんかを取り出して読み始めると、おしゃれで文化的な雰囲気がしますよね。いや、別に「赤川次郎」や「宮部みゆき」だっていいのです。

文庫本

古屋さんが勧める文庫の読み方は、
「本を選ぶ際、内容にあまりこだわらず偶然の出会いを大切にすること」
好きな人が読んでいたからなんて理由でもいいので、とにかく手に取って読んで欲しいと。
何かの役に立つとか利益につながるとか、そんな目的は持たずに読み始める。
これを「知的スケベ根性」とご自身では呼んでいるそうです(笑)

古屋さんはなにも懐古主義的に紙の本がいい、などと言っているわけではありません。
電子情報には電子ならではの便利さがあります。一方で、文庫本には明らかなメリットがあるのです。

本をただ「情報」としての価値だけでなく、手に取れる「物」として扱うことに意味を見出す古屋さん。
書き込まれた日付も何気ない折り目も、それ自体が自分の思い出とリンクして、愛おしくなるものです。

世界を旅して回るバックパッカーの間では、読み終わった本を交換し合うという習慣があるそうです。
電子書籍ではできないことのひとつです。手から手へ、旅の思い出を乗せて遥か異国へと渡っていくのでしょう。

文庫というスタイルが最初に登場したのは1914年の新潮文庫。
なんと今年でちょうど百周年。
一世紀もの長きにわたり生き続けているメディアなのです。
その有用性、利便性、もっといえばロマンに今更ながら気付かされました。

今一度、文庫本という「知的世界への扉」をポケットに忍ばせてみるのもカッコいいのではないでしょうか。

文庫本百周年

快適読書をサポートする「これまじ!」アイテム

そんな文庫本ライフをもっと充実させるために、古屋さんがお薦めする文房具を二つほど紹介。

一つ目は「革のペンキャップ」
赤鉛筆のキャップ
たまたま福岡のショップで見つけたそうですが、見ての通りペンキャップとしては贅沢な作り。
革は大阪の高槻にある「カクラ」というデザイン工房でなめされた「ナチュラルヌメ」という高級感溢れる本革を使用。裏革を貼らず、革本来の表情を大切にした特別な素材です。
プラスチックのキャップだとどうしても割れたりヒビが入ったりしますよね。革だとその心配は要りません。
鉛筆が短くなれば延長用グリップとして使えるのは従来品と同じです。

(カクラ)KAKURA ヌメ革えんぴつキャップ (カクラ)KAKURA ヌメ革えんぴつキャップ

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二つ目は「スリムで透明な付箋」
ポストイット
ペンを取り出して書き込む余裕がなくても、ペタっと貼り付けるだけでメモ代わりになります。
古屋さんが使用する付箋はとても小さいのでピンポイントで要点を指し示すことができ、かつ、透明ですので、文字に重ねて貼っても文字を読むことができるのです。
1ページに複数のチェックを入れたい時に重宝しますね。
ポストイット

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以上二点、真の本好きなら外せない古屋さんお勧めの「これまじ!」アイテムでした!

おまけ:古屋さんプロデュース書籍のご紹介

本をこよなく愛する古屋さん。
そんな古屋さんの職業は出版プロデューサー。
まさに天職と言って過言ではないでしょう。
そんな古屋さんがプロデュースした書籍のご紹介です!

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(取材:板羽宣人 / 記事:Rose)

今回のゲスト
古屋荘太さん (facebook | twitter

金融→広告代理店プランナー→出版コンサルティング会社の取締役出版プロデューサーを経て、フリーの出版・コンテンツを企画する「本の企画」代表。海外文学からビジネス・実用書まで、書籍の企画・プロデュースを行う。


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