働く足を日々サポートしてくれる「ブランドストーンのサイドゴアブーツ」
街のおしゃれなカフェやイタリアンのお店などで、黒板に手書きでメニューやお知らせを書いてあるの、見たことありますよね。
あれって、お店のスタッフが書いてると思ってませんか?
実は専門のプロがいるんですね。
今日ご登場いただく方は、チョークを自在に操りお店の顔ともいえる黒板を生き生きと書く、その名もチョークボーイさんです。
以前ご紹介した白冰さんのお店「FOOD&COMPANY」の黒板もこのチョークボーイさんが手がけています。
独学で自由に書いていたら、やがて仕事のレベルに
7、8年前に大阪のカフェでアルバイトをしていた頃。お店の黒板の書き換え作業が日課だったのですが、ただ書くだけなら10分で終わるところを、ワインやビールのラベルを真似て描いたり、たっぷり30分かけて凝ったものを書いていたそうです。そのうちどんどん上達し、やがて上層部に認められ、新規店舗や他店からも依頼が舞い込むように。ついには東京で独立を果たします。
「なにか資格を取ったりしてなれるわけではないので、プロって胸を張れるほどでもないんですけど」と謙遜する一方、「仕事というのはニーズがあるから成り立つので、求められていることに応えられるのは快感」と、ある意味、運命的な天職だったのかもしれません。
日々更新されない情報は死んでいるも同然
チョークボーイさんにとって、お店の黒板は生きた情報を伝えるもの。
どんなにカッコよく書けていても、そのままほったらかしにされていたのでは死んでいるに等しいと考えています。
だから仕事の依頼を受けるとき、書き換えの必要のないベース部分に加え、必ずお店のスタッフが日々情報を更新できる余地を作るんだそうです。なぜなら自分が書いた黒板が死んでほしくないから。
もちろん、黒板とチョーク以外の道具も使って様々なタイプのボードを書きます。ガラスにも書きますし、黒板でもベース部分には消えない固形ペンキを使い、日々更新するところはお店のスタッフがチョークで書けるようになど、用途に応じていろんなボードを提供しています。
日替わりの食材など、お店の人にしか書けない新鮮な情報もあります。それを伝えるための「場」をチョークボーイさんは作っているのです。
音楽活動も繰り広げるマルチアーティスト
実は多彩な顔を持つチョークボーイさん。
黒板書きと並行して、「ヘンリーワーク」という名でさまざまな音楽活動もされています。なかでも料理人とコラボした「EATBEAT!(イートビート)」というプロジェクトは斬新。会場で野菜を切ったり肉を焼いたりする調理の音をリアルタイムで録音・編集、その場で楽曲にしてしまうという、料理と音楽を融合させたライブパフォーマンスなのです。
この二本柱が現在のライフワークとなっていますが、収入の面ではチョークボーイとしての活動がメインのよう。いずれにしても、アーティスティックで自分らしい生き方を自然体で体現している自由人だなぁと感じますね。
いい仕事は足元から。軽くてパワフル防水のブーツ
チョークボーイさん断然オススメの「これまじ!」アイテムは、こちらのサイドゴアブーツ。
「ブランドストーン」という、オーストラリアで1870年に創業した老舗ブランドです。
サイドゴア、つまりくるぶしの両サイドに伸縮性のあるゴア素材が使われているもので、紐なしで脱ぎ履きがしやすいのが特徴。軽さと丈夫さとを兼ね備え、独自技術のソールクッションの衝撃吸収性は抜群で、アウトドアに威力を発揮します。
とりわけ最大のウリは強力な防水性。ちょっとぐらいのぬかるみや水たまりなどモノともしません。ある冬の吹雪の日、普通の靴でベチョベチョになり、中まで水が浸入して凍える思いをしたことがあったのですが、その翌日にこのブーツの情報を耳にし、その日のうちにすぐ買い求めに走ったそうです。
チョークボーイさんは仕事柄、オープン前の内装もできていない店舗に足を運んだりします。足場に木材や端材がゴロゴロ転がっている現場も多く、また「EATBEAT!」の仕事では野菜作りの畑などにも行きますし、つねにハードな足元にさらされています。
そんな働く足を日々サポートしてくれるのがこのブーツ。
どこへ行くにもほとんどいつも履いているそうです。
[ブランドストーン] Blundstone BS550
Blundstone(ブランドストーン) |
手書きの魅力を広めて、ひとつのシーンにまで高めたい
今後はもっと手書きの良さを広めていきたいと話すチョークボーイさん。
小学校から慣れ親しんだ黒板とチョークで書かれたあたたかみのあるメニューボードは、それだけで店員さんとコミュニケーションが取れるような気がしますよね。
「タイプされた活字よりも、手書き文字の方が圧倒的に込められた情報量が多いんですよ」
それは文面の内容だけではなく、文字の形や力の込め方など、文字そのものに書いた人のキャラクターやテンション、温度といったものが表れるからでしょう。
そうした手書き黒板の魅力を少しでも知ってもらうために、一般向けのワークショップを開いたりもしています。
「少なからずニーズがあるからこうして僕の仕事がある。それをシーンにまで高めたいんですよ。でも一人では無理。だから仲間を増やして、大きなムーブメントにしていきたい」
そう語る彼の目には、第一人者としての自覚をも感じます。
近年ではデジタルサイネージ(電子看板)もありますが、やはり手書き文字と比べると味がないというか、雰囲気も出ません。プログラムの更新にかかる手間や費用も大変だそうです。
これからも黒板とチョーク以外にさまざまな表現方法が登場するでしょう。それでも、
「手書きか、そうでないかの区別はあり続けると思う」と先を見据えています。
まだお若いですが、「老後は湖のほとりに住みたい」(笑)とライフスタイルに個性的なビジョンをお持ちの様子。
効率性やスピード重視の時代にあって、それに惑わされず自分のペースと価値観で生き抜く姿には憧れるものがありますね。
今度、どこかのカフェでメニューボードを見たら、チョークを片手にしたブーツ姿のチョークボーイさんが目に浮かんできそうです。
(取材:板羽宣人 / 記事:Rose)