弁当につめるのは母の思い「輪島キリモトの弁当箱」
今日のゲストは奥田浩美さん。
奥田さんは、IT系の大規模カンファレンスをメインに事務局を統括する運営事業をされているウィズグループの代表をされています。
Tech Crunch、IVSやMash up Awardと言ったイベントにも携わっておられ、この業界界隈の方からは「女帝」(笑)とも呼ばれ、大きな存在感を示すとともに多くの方に慕われています。
そんな奥田さんが紹介してくれた「これまじ!」アイテムはこちら!
輪島キリモトの弁当箱
これは何とも美しい弁当箱ですね!
一目でこだわりを持って作られたことを感じることができます。
それもそのはず。
この弁当箱を制作した輪島キリモト・桐本木工所は漆器から木地にいたるまで約150年のモノづくりの歴史がある製作所とのこと。
木地職人、漆塗り職人が丹精を込めて、1つ1つを手作業で作られているこの弁当箱は何と一つの木からくり抜いて作られているのだそうです。
この弁当箱いくらすると思います?
私はまぁ1万円はするだろうなと予想していたのですが、なんと予想を大きく上回り、26,250円とのこと!
弁当箱1つでこの金額。
少し驚いてしまいましたが、奥田さんはこの金額は妥当な金額だと言います。
「機械が作っているわけではなく、職人が1つ1つを丁寧に一つの木をくり抜いて、何度も漆を塗って仕上げていくその過程にはその価値があると思うんです。
弁当箱を通じて、モノにはこだわりがあるということを娘にも伝えることができる点にも価値があるし、また、こういう伝統をつないでいくための金額でもあると私は思います」
奥田さんは、長く使えるモノを大切に使うことが好きだと言います。
その根底に流れているのは、お母さまから引き継いでいるお重にあるとのこと。
就職したお母さまが初任給全額で購入したお重を奥田さんが引き継ぎ、今でも大切に利用しているのだそうです。
奥田さんは毎朝facebookに作られたお弁当をアップされています。
何とも美しいお弁当ですよね・・思わずうっとりしてしまいます。
そのことを奥田さんに伝えると、次のような答えが返ってきました。
「私はお弁当は生け花のようなものだと思ってるんです。
生け花って花器によって、花の見え方が変わるんですね。
お弁当も一緒で、何に入れるかで見え方がまったく変わります。
その点、この輪島キリモトの弁当箱は、同じ玉子焼きを入れてもプラスチックの弁当箱に入れるのとはまったく異なる姿を見せるんですよ。
そして、食材の裏表どちらを見せるかで、印象がまったく違うし、美しく見せる角度にもこだわりがあります。
1つ1つの食材と向き合いながらつめていく作業はまさに生け花に通じるなって思います」
うーーん。深いですね。実に深いです。
そして何とも美しいお弁当です。
奥田さんはお弁当を2,000食つくるという目標があるのだそうです。
娘さんが小学3年生のときに塾通いを始めるようになってからスタートしたお弁当づくり。
高校を卒業するまでつくるとちょうど2,000食ぐらいになるとのこと。
ご存知の方も多いと思いますが、奥田さんの忙しさは尋常じゃありません。
その忙しさの中でも奥田さんにとってはお弁当づくりは娘さんとの関わりにおいて欠かせないものだと言います。
「私は一般的な家庭のお母さんに比べると、娘と接することができる時間って20分の1ぐらいだと思います。
そんな生活の中で、母親として娘に接することができるお弁当作りはどれだけ忙しくて続けていこうと決めています。
”お弁当をつめる”という行為は”思いをつめる”行為にも通じると思うのです。
お弁当箱選びから始まり、1つ1つのおかずに思いやこだわりを持ってつめていく。ほかの部分でそうしたこだわりを出したくても私の生活では無理です。
それがお弁当では表現できるのです」
なんとも深い奥田さんの思いです。
お弁当ひとつにここまでの思いやこだわりが入っているとは心底敬服いたしました。
奥田さん、素敵なお話を聞かせていただきありがとうございました!
>>輪島キリモト・桐本木工所ホームページ
>>輪島キリモト・桐本木工所 オンラインショプ
おまけ:奥田さんが今、一番やりたいこと
今、奥田さんが一番やりたいこと。
それは、「地域での創業」だと言います。
奥田さんは次のように話してくれました。
「創業とかスタートアップと言うとスケールすることをイメージする人が多いのですが、私は地域で自分たちの家族プラスアルファぐらいをきちんと養えるぐらいの創業を支援したいと考えています。
アプリをつくって云々という創業ではなく、目の前にあるその地域ならではのものをITの力を使って創業することの支援をできたらと思うのです。」
地域で特に感じるのが、女性が生きにくい場所が多いことだと奥田さんは言います。
それは特に人口が少ない地域で顕著で、女性が男性を支える側にいた文化がある中で、いくら女性に起業してみたらと言っても土壌的にまず難しい環境がある。
だからこそ、自分が取り組む意味があるんだと奥田さんは強く言います。
そうした取り組みを奥田さんはfinderで行っています。
finderとは以前、これまじ!に出演いただいた本田正浩さんと立ち上げたプロジェクト&メディアサイトです。
本田さんから地域活性化をテーマにしたプロジェクトをやりたいという相談を受けたとき、自分が地域を転々として育ってきた経験があることから、「そんな生やさしいものではない。課題もたくさんあるんだよ」と初めはさとしたと言います。
しかし、それをきっかけに自分の中で何とかしなくてはいけないという思いがふつふつと募り、地域で暮らしてきた自分にしか分からないこともあるのではと、本田さんとfinderを立ち上げることになりました。
奥田さんは最後にこう話してくれました。
「これまで多くのカンファレンスを運営してきました。そのおかげもあり、様々な分野で突出した人とつながることができました。
一生懸命仕事をしてきて、気がついたら人脈というすごい副産物が出来ていたんです。
こうした人たちと東京でわいわい飲むのもいいのですが、この人たちを地域につなげれば、地域ですごいことが起こるんじゃないかと思うんです」
これからの奥田さん、そしてfinderが関わる地域に要注目です!
>>離れた地域に住む人のエネルギーを交換するプロジェクト&メディアサイト「finder」
今回のゲスト
奥田浩美さん (facebook)
鹿児島生まれ。
1989年、インド国立ボンベイ大学(現ムンバイ大学)大学院にて社会福祉課程を修了。 MSW(Master of Social work)取得。
インドでは社会福祉のマスターコースにてマザーテレサの施設研究等にたずさわる。
「世界・社会を変える」指導者としての教育を2年受けて帰国するも、日本にて「世界・社会を変える」福祉分野の就職先と出会えず、そんな折、「世界を変える」と主張するIT分野の人々と出会う。
1989年、国際会議の企画運営会社に入社。当初は政府機関系の情報技術系国際会議に携わり、あらゆるIT分野の先進技術会議をサポート。
1991年、IT専業のコンベンション事業を設立。ITの台頭と共に海外より進出してきた、MacWorldやWindows World、Interopといった大型のプライベートショーの事務局を受注。主催企業と共に、サンフランシスコやラスベガスのコンベンションセンターで開催されるコンファレンスやプライベートショーを視察し、その開催手法とコンファレンスのビジネスモデルを日本に取り入れる。
日本での立ち上げに携わったのは:
・Windows World ・Sun World ・Interop ・JavaOne ・SAP SAPPHIRE ・Google Developer Day等
10年間の事業統括後、出産を機に子育てと社会貢献を両立できることを中心にすえ、更なるスペシャリストのグループ化を目指し、株式会社ウィズグループを設立。
主要実績としては、大手外資企業の大規模のプライベートショーが多く、現在も大規模コンファレンスをメインに事務局統括を行う。
また、「コンファレンスを通してイノベーションを加速する」ことをモットーに、特にIT系の人的ネットワーク作り・コミュニティづくりを支えている。 さらにそれらのネットワークを活かし、起業系コンテストの企画やコンファレンスの企画等にも加わっており、あらゆるコンファレンスやコンテストの事務局を統括している。
同時に、Startupのサポートも多く行っており、世界展開されている「Startup Digest」の東京キュレータや、女性起業家のコミュニティのSpark! といったものも主宰している。
Startupイベントのサポートも多く行っており、TechCrunch等のスタートアップイベント等のサポート、IVS の運営アドバイザーも行っている。
また2012年11月にITを軸に地域活性を促すメディア、finder: fin.der.jp をTechWave 元副編集長の本田正浩とともに立ち上げ、プロジェクトを主宰している。
※さらに詳細に知りたい方はぜひこちらのページをご覧ください。